世界できっと、キミだけが
「は、はい!?身代わりってどういうことですか!」
私が連れてこられたのは、あの厳しそうな社長と呼ばれていたおじさんの自宅らしい。
さすがお金持ちらしい豪邸に連れてこられただけでも場違いすぎて気後れするというのに。
そこで告げられた話に私はそんなの全て吹っ飛んで叫んだ。
「わが宇都木グループの最近の騒動は知っているだろう」
「そ、それは」
寄せられた眉はそこで固定されたようにまっすぐ眉間に縦線をつけている。
怖くて顔を直視できない。
声も淡々と抑揚もなく。
「そのことで、いろんなところで抗争や問題が起きている。そのことに、娘も巻き込まれる可能性があるのだ」
「は、はぁ…」
「だから、お前に娘の身代わりとして全てがおさまるまで過ごしてほしい」
要は、娘は大切だから危険な目にあわせたくない。
だから、身代わりに私をということだ。