世界できっと、キミだけが


でも、いざとなったら言いだせなくて結局言えないままそのまた次の日を迎えた。



「…え……」




その日、靴箱にあったのは一枚の写真と手紙。
その写真は、私ではなく竜の写真だった。



「な、んで…」



どうして、私ではなくて竜の写真?
隠し撮りみたいな写真。
仕事中の姿みたいだ。


そして、一緒にいれられていた手紙を開く。



『お前の秘密を知っている。
   すぐに古い体育倉庫に来い。
 来なければ、写真の男を標的にする』




息が詰まる。
そんな。

竜が危険だ。


そんな事、させない。
でも、怖い。

怖いけど…。



「紗千?」

「あ、ごめん。ちょっと寄るところができた」

「寄るところって、これから授業…」

「うん、すぐ戻るから」




一緒にいた菜穂に気づかれないように平常を装う。
笑って別れると私はまっすぐ体育倉庫に向かった。


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