世界できっと、キミだけが


「借金がなくなれば、キミの父親も楽になるんじゃないのか?」



そんなの、当たり前のことで。
お父さんは借金を返すため、昼夜働きづめだ。
明るく元気そうに振る舞っているけど、疲れているのはわかってる。


だから私も、高校卒業したらすぐに働こうって…。




「もちろん、キミの身の安全は保障する。優秀なボディガードをつける用意を整えておこう」

「そんな、ボディガードがいるなら、身代わりなんて必要ないんじゃないでしょうか」



それでも、最後の抵抗を試みる。
簡単に頷いてなるもんか。
ものすごく、バカにされた気分。




「娘にもいずれ会社を一つ任せようと思っている。そのための勉強に励んでもらいたいのだ。そのためにも、相続問題にもきっちりカタをつけなければならない」




意志のこもったその瞳に。
私はそれ以上なにも言えなくなる。

だって、拒否権なんてないのだ。
この人にとっては、私が断ることなんて想定していない。
どんなことがあっても、力を持って自分の思う方へと強引にでも持っていくつもりだ。



< 13 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop