世界できっと、キミだけが
「借金がなくなれば、キミの父親も楽になるんじゃないのか?」
そんなの、当たり前のことで。
お父さんは借金を返すため、昼夜働きづめだ。
明るく元気そうに振る舞っているけど、疲れているのはわかってる。
だから私も、高校卒業したらすぐに働こうって…。
「もちろん、キミの身の安全は保障する。優秀なボディガードをつける用意を整えておこう」
「そんな、ボディガードがいるなら、身代わりなんて必要ないんじゃないでしょうか」
それでも、最後の抵抗を試みる。
簡単に頷いてなるもんか。
ものすごく、バカにされた気分。
「娘にもいずれ会社を一つ任せようと思っている。そのための勉強に励んでもらいたいのだ。そのためにも、相続問題にもきっちりカタをつけなければならない」
意志のこもったその瞳に。
私はそれ以上なにも言えなくなる。
だって、拒否権なんてないのだ。
この人にとっては、私が断ることなんて想定していない。
どんなことがあっても、力を持って自分の思う方へと強引にでも持っていくつもりだ。