世界できっと、キミだけが


「なにやってんだ!!」

「きゃっ!?なに…!?」



突然人の気配がやってきて、男が怯む。



「くそっ!」



男は私の上からどくと入ってきた人を押しのけて飛び出して行った。
急に空気が送り込まれてきて、苦しくなって咳き込む。




「逃がすか!」

「うがっ!!」



外から騒がしい声が聞こえてくるけど、気にする余裕なんてない。



「紗千!?」

「紗千!大丈夫!?」



切羽詰まった声には聴き覚えがあった。
菜穂と、浩太のもの。

どうして…。




「ゲホッ、ゲホッ…ッ、なん、で…」

「戻って来ないから心配で探しに来たの。浩太君に声かけたら一緒に来てくれるって…そしたら」




クラクラする頭。
心配して、くれたんだ。


二人が来てくれなかったら、私…。
あいつに、きっと殺されてた。




「どうして、こんな…。さっきの人、知ってる人じゃないよね?」

「なにがあったんだよ、警察…。警察よばねぇと!」



< 132 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop