世界できっと、キミだけが
その会場の中にはすでに多くの人がいて、賑やかに歓談中だった。
きっと普段私とはかかわりのない世界にいる、お金持ちの人たち。
上品で気品のある出で立ちの人たち。
圧倒される。
「宇都木社長、お久しぶりです」
「倉持社長。この度は、お招きありがとうございます」
「いえ。この度はいろいろな業界のものを集めていますので、宇都木社長の取引のお役に立てるかもしれません。ぜひ楽しんでいってください」
「それはお気遣いありがとうございます」
物腰の柔らかそうな、それでもその瞳には強い意志を持った年配の男の人。
倉持社長といった。
見せてもらったパンフレットに主催者の名前が書いてあった気がする。
確かそこには倉持総一郎と書いてあったっけ。
もしかして、この人が?
確かに、社長って感じのオーラがある。
宇都木社長のように、ギラギラと禍々しい野心たんまりのオーラではないけれど。
「お嬢さんですかな?」
「ええ。幸子といいます」
倉持社長が私に視線を向け尋ねるのに、宇都木社長が答えた。