世界できっと、キミだけが


戻ってきた日常は、なんだか呆気ないほどで。
お父さんにはバケツに溜まるほど泣かれた。
かなり心配をかけてしまったんだから仕方ない。
まだ危険が残っていることは話さなかった。


ただ、関わってしまったことでもしかしたらまた何かがあるかもしれない。
だからお父さんも十分に気をつけてとは伝えた。


学校に行って菜穂や浩太と話したり、苦手な勉強をしたり。
放課後はどこかに寄り道してみたり。


以前の生活が戻ってきて、幸せ過ぎるはずなのに。



そこに竜がいないだけで、こんなにも物足りなく感じてしまう。



もうあの場所には戻れない。
戻りたくもないはずなのに。



竜がいたというだけで、あの場所さえも恋しくなる。
恋の魔法。




「え?もう鹿島さんと会えなくなっちゃったの?」

「うん。安全が確認できたからって契約が終わったの」



菜穂には私が竜を好きだということは話した。
犯人の顔を見てしまったことでボディーガードをしてくれていたと思っている。




< 232 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop