世界できっと、キミだけが
「でも、いいの?好きだったんでしょう?」
「うん…。でも、仕方ないから。それに、竜には好きな人がいるから」
竜は好きだとは認めなかったけど。
恩人で特別って、好きってことじゃんね。
きっと今は、幸子お嬢様の元に戻れて喜んでる。
悔しいけど、きっとそうだ。
「新しい恋、しなくちゃね!」
「紗千…。私は紗千がそれでいいならいいけど。本心なの?」
本心…。
そんなわけない。
そう言い聞かせておかないと自分がダメだから。
私、こんなにも好きになってたんだ。
「無理、しないでね」
菜穂は優しい。
私の周りの人たちはみんな優しい。
私もみんなに優しくできてるだろうか。
もらった分以上の優しさを返せているだろうか。
そうだ。
私の世界はこんなにも暖かくて、笑顔に溢れてる。