世界できっと、キミだけが

｢気にしないで、君は完璧だったよ。僕が君を見ていただけ｣

｢え…？｣




それってどういう意味だろう。



｢紗千？知り合い？｣

｢あ、えと、うん。ごめん、先に帰ってくれる？｣

｢うん。わかった。じゃあね｣

｢うん。また明日｣



菜穂に謝って先に帰ってもらう。
浩一さんと向き合った。
多分もうごまかせない。
確信を持ってきてるんだもん。



｢とりあえず、場所を変えようか｣

｢はい｣



私のそばを通る生徒たちがチラチラと様子を見ながら過ぎていく。
目立ちすぎてるよね。
こんな高級車、なかなか見ないし。



｢とりあえず、乗って？｣

｢あ…はい。あの、浩一さんの車なんですか？｣

｢まぁね。車はいいものに乗りたくて｣




車だけじゃなくて、全てがいいものに思えるけど…。
それは言わないでおこう。
お金持ちの感覚とは違うんだから。


車にエスコートされたどたどしく乗り込んだ。
き、緊張する。