世界できっと、キミだけが
高級車の後部座席には多少慣れたけれど、助手席というのは初めてで。
緊張するし、目立ってる気がするし、ソワソワして仕方なかった。
「本当はさ、僕のよくいくレストランとかにいってポイントを稼ぎたいんだけど、時間的にはまだ早いし、君はなんとなくそう言うの好まないかなと思って」
「は、はい…」
浩一さんが言ういいレストランっていうのは、きっと私が考えている以上のレベルの高い場所だ。
今まで、幸子お嬢様の身代わりとしていくような、私なんかがフラッといっていい場所じゃない。
そんなところに連れられるところだったのかと、身震いをした。
「だから、普段君がいくカフェを教えて?そこに行こう」
「え…。でも、私がいくようなって…。きっと浩一さんには不釣り合いというか…」
もちろん私は好きだし、美味しいって思う所ばかりだけど。
浩一さんが喜んでくれるかどうかはわからない。
「不釣り合いって、僕をなんだと思ってるの。大丈夫。別に僕だっていつも高級食材ばかりを食べているわけじゃないよ」
「そ、そうですか…?」
「そうそう。結構庶民派のつもりなんだけどな」