世界できっと、キミだけが


私が巻き込んだ。
私が、こんな目に…。



「ごめんなさい…っ」




ポロポロと溢れだした涙。
とまらなくて。

悲しみに支配された心が重くて。
苦しくてたまらない。



「紗千のせいじゃない」

「私のせいだっ!私が…!全部…!全部私が!」

「落ち着け!違う!紗千のせいじゃない!」




これのどこが私のせいじゃないというの。
吉沢さんは私を狙って。
私が、身代わりなんて引き受けたから。

みんなそう言う。
あの男も。
吉沢さんも。


全部私のせいだって。



「なん…、なんで…」

「紗千…」



苦しくなって、身体に力が入らなくて。
ズリズリとずり落ちていく身体を、竜が支えてくれる。

辛くて、苦しくて仕方がない。



誰にも傷ついてほしくないの。
私のせいで誰かが傷つくのなんて耐えられない。



庇ってほしくなんて、なかったのに。



< 270 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop