世界できっと、キミだけが
「…あれ…」
声が聞こえる。
浩一さんが、目を覚ましたんだ。
「浩一さん!!」
「…あ、紗千さん。ここは…?」
「ここは、病院です。覚えてますか?私たち…」
「ああ…、そうだ。覚えてるよ。紗千さん、怪我は大丈夫?」
うつらうつらした様子で浩一さんは私の心配をしてくれる。
どうしてこんな目にあって、私の心配なんか…。
浩一さんの方が酷い怪我なのに。
「ごめんなさい、浩一さん…」
「なんで紗千さんが謝るんだ?」
「だって、私のせいで…」
「紗千さんのせいじゃないでしょ。確かに体中痛いけど生きてるわけだし」
なんでそんなに優しいの。
私といなかったらこんな目になんてあう必要なかったのに。
「悪いと思うなら、僕と付き合ってよ」
「え…?」
茶化すような声でそう言う。
私は一瞬言葉を失い浩一さんを見た。