ガキ大将が王子さま
「そんなこと言って…
こんな可愛いのに、彼氏もいないなんて、もったいないよ。」
こんなこと言ってくれるのは、美和くらいだ。
身長150㎝やっとあるくらいの私は、いまだに中学生下手すると小学生扱いされてしまう。
合コンみたいな知らない人ばかりの集まりだと、気後れしてしまう。
昔から小柄だったせいで、よくちょっかい出されたりしたもんだ。
それを、守ってくれたのがお兄ちゃん。
私のヒーローなんだ。
お兄ちゃんといたら、近所のいじめっこも、なにもしてこなかった。
あの頃のお兄ちゃん、ふくよかだったんだよね。
いまだにふくよかなのかな?
どんな風になってるのか、想像もつかないや
うろ覚えで、お兄ちゃんのお母さんのことを思い出す。
おしとやかそうな、綺麗な人だったと思う。
その人も、私のことを可愛いと言ってくれていた。
「可愛いなんて、言ってくれるの美和くらいだよ。ありがとう♪」
「じゃ、行こう♪」
「その話しは、別!」
「まったく、この娘ったらガンコ…」
美和が言葉の途中で固まっている。
目線が私の頭の上の方をいってる。
どうしたのかと思って、美和の目線を追って、後ろを振り返ってみる。