上司な彼とルームシェア
葛藤
あのキスがあってから、私だって何も思わない訳ではなかった。
ときめきもしたし、動揺もした。そして少しの気持ちが芽生えたのも事実だ。
でも、自分からどうこうしようとは思えなかった。
周りが見えなくなるのが怖いからだ。
2年前────
「最近、重いんだよな。ちょっと監視されてる感あって、疲れる」
偶然聞いてしまった、電話でおそらく友人と話している彼の言葉。
愕然とした。彼の求めるものをと先読みして動いたり、気持ちよく過ごして貰おうと頑張ったつもりが、そんなふうに思われていたなんて。
それからは、彼の顔色を窺い過ぎてぎくしゃくし、完全に歯車が合わなくなった。
そんな時に彼の転勤話も出て、「もう、いいんじゃないか?」と彼が別れを告げた。
すがりもしなかったし、私も当時の状況に疲れていたのは否めなかった。
嫌いになった訳ではなかったけど、好きという感情も何処に在るのか分からなくなってしまった。
だから俊哉への感情は、大きくならないようにと奥底へ押し込めていた。
でも、今日の俊哉の告白でその感情が押し込めた隙間から少し流れ出てきていた。
それでもまた押し込めるように、布団の中で固く目を瞑り涙と共に意識を闇へ落とした。
ときめきもしたし、動揺もした。そして少しの気持ちが芽生えたのも事実だ。
でも、自分からどうこうしようとは思えなかった。
周りが見えなくなるのが怖いからだ。
2年前────
「最近、重いんだよな。ちょっと監視されてる感あって、疲れる」
偶然聞いてしまった、電話でおそらく友人と話している彼の言葉。
愕然とした。彼の求めるものをと先読みして動いたり、気持ちよく過ごして貰おうと頑張ったつもりが、そんなふうに思われていたなんて。
それからは、彼の顔色を窺い過ぎてぎくしゃくし、完全に歯車が合わなくなった。
そんな時に彼の転勤話も出て、「もう、いいんじゃないか?」と彼が別れを告げた。
すがりもしなかったし、私も当時の状況に疲れていたのは否めなかった。
嫌いになった訳ではなかったけど、好きという感情も何処に在るのか分からなくなってしまった。
だから俊哉への感情は、大きくならないようにと奥底へ押し込めていた。
でも、今日の俊哉の告白でその感情が押し込めた隙間から少し流れ出てきていた。
それでもまた押し込めるように、布団の中で固く目を瞑り涙と共に意識を闇へ落とした。