常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
……ムダなことだったようだ。
そもそも亜湖は、大地の右腕に抱き寄せられて、おとなしく彼の肩に頭を預けていたからだ。
これではなんの説得力もない。
つまり、なんだかあれよあれよという間に、こんなことになっているとはいえ、この状況が決して亜湖にとって不本意ではない、ということの表れだ。
亜湖自身……なぜだかわからないけれども。
彼女の名誉のために言っておくが、溺愛する父親がいることもあるが、今までの彼女自身のガードは鉄壁だった。
お嫁さんにしたい、と言われる名門女子大出身の彼女は、女子と生まれたからにはたとえ親の死に目に会えなくとも行かねばならぬ、医者や弁護士やIT社長たちとの合コンにも呼ばれたことがある。
今まで、どんなハイスペックな男が言い寄ってきても「絶対にオチない女」だったのに……