常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

『おまえ、名前は?』

下からものすごい目力で、男の子は訊く。

『……亜湖』

『そうか……「あこ」よく聞けよ?』

男の子は亜湖の両肩を掴んだ。

『おれは男だからな、これから大人になって、遊ぶだろう』

男の子はまるで天から遣わされた預言者のように言った。

『だけど「あこ」はおれの「()ストライク」だ。そんな女はそうそういないだろう。だから、どんなに遊んでも、絶対に戻ってくる!約束する!!』

亜湖は首を(かし)げる。言っている意味がさっぱりわからない。

『「あこ」待ってろよ……おれが大人になっておまえを迎えに行くまで』

亜湖は相変わらず意味がわからなかったが、ものすごい目力に圧倒されて、こくっと肯いてしまった。

『それまで、おまえはおれ以外の男について行っちゃ、ダメだからな!……いいか!?』

亜湖にはそれがどれだけ理不尽で身勝手な言い分なのか、わかるだけの分別はなかった。
だから、迫力に押されてつい、こくこくっ、と二回も肯いてしまった。

『そうか……じゃあ、誓いのチュウな?』

そう言って、男の子は亜湖のくちびるに、ちゅっ、とキスをした。

しかし次の瞬間、男の子は柔道の送り(えり)絞めをされて、亜湖からべりっと剥がされた。

『こっ、このクソガキが……っ⁉︎』

おとうさんは、今までに見たことがないくらい怖い顔をして怒鳴っていた。

『おれの娘になにをしやがるっ!?……大地っ!!』

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