常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

……あ、そうか。
亜湖の父親が「田中のおじさん」なら、母親は「田中のおばさん」だ。

「ご…ご無沙汰しております」

亜湖の両親の田中夫妻は、朝比奈の新春パーティに毎年のように出席していた。
亜湖はなぜか、一回しか来なかったが。

大地など朝比奈一族の子どもたちも成長するにつれ、大学生になる頃には自然とパーティには出席しなくなった。

「今日は何時頃、お宅へ伺えばご都合がよろしいでしょうか?」

大地が会社の顧客に確認するかのように殊勝な声で尋ねると、スマホの向こうから軽やかな笑い声がした。

『大人になったわねぇ……あの腕白坊主の大地くんが……そんな言葉遣いして』

そもそも、数日前「再会」した亜湖よりも、その両親の方が子どもの頃からの大地のことを知ってるのだ。

……ガキの頃の悪童三昧を知られてるから、なんかやりづらいなぁ。

『ふふふ……今日は土曜日でお仕事、お休みでしょ?亜湖とデートしたいんじゃないの?』

「いえ、そちらのご都合さえよければ、すぐにでも亜湖さんをお宅までお送りしますので」

『いいのよ。どうせ今日はわたし、友達と出かける予定だし。だから、夜になっても大丈夫よ。
……ただ、今夜は家に帰してね』

高らかに、笑い声が響く。

「もちろんです!」

……やった!夜まで亜湖と一緒にいられる許可が得られた!!

大地はまるで初めて彼女の親から交際を許された男子高生のように、心の中でガッツポーズをした。

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