常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
投資信託のために集めた資金を管理できるのは、信託銀行だけだ。株式や社債が電子化されペーパーレスになる前は、それらを発行できる唯一の機関でもあった。
そして、実際にファンドを組んで(投資先を選定して)資金を投入させるのが、運用会社である。
「信託銀行だって運用会社だってバカじゃない。元本割れしたことのないMRFや、もうちょい受益率の高いMMFだってあるじゃないか。だけど、実際に顧客に販売する立場のおれたち証券会社や銀行なんかが、自分らの実入りが悪いからっていうんでスポイルしてるんだ。『夏のボーナスに向けての目玉商品』として全店挙げて、というふうには絶対にならない」
「公社債投信」といって、日本の国債や日本の電力会社などの株式や社債の安定した投資先でファンドを組むことによって、MRFは「普通預金」、 MMFは「定期預金」と呼ばれるほど、安心な商品もあるにはある。
「本当はNISAがあるうちに、もっとごく普通の人たちに証券口座を設けてもらえる手立てを考えなくちゃいけないんだけどな」
NISAとは、期間は決まっているが、株式と投信の配当金や分配金が毎年百二十万円まで非課税となる、政府肝入りの優遇措置である。
「……わたし、こういう話がしたかったんです」
田中 沙恵子は頬を紅潮させて言った。
「あ、あの……今度ゆっくり、いろんな話をしてもらえませんか。わたし、課長から教えてもらいたいことがいっぱいあるんです」
大地は乞われて、田中 沙恵子とLINEのIDを教え合った。