マドンナブルー
警察署の取調室にて、杜は浅くイスに座り、うなだれていた。小さな机を隔てて巨漢の刑事が座っている。その畑山という刑事が腕組する姿は威圧的だった。彼は大きな顔に不釣合いな小さな眼鏡をかけ、その囲いの中で、小さく細い目が冷たく光っていた。彼は、黙秘を続ける杜に苛立っていた。

「おい坊主、いつまでそうやって黙ってるつもりだ?それじゃあずっと帰れねえぞ」

 うつむく杜に変化はない。

「あの及川って男に何か恨みでもあったのか?きちんと話さないと、お前が不利になるんだぞ」

 なおも杜は無反応である。畑山は腕組したまま背もたれにのけぞった。面倒に出くわしたわけではない。青臭い少年の口を割らすことなど、彼にとって朝飯前である。

「よしわかった!もう何も話さなくていいぞ。おそらく今回の件は、通り魔的な事件として処理されるだろう。これで少年院行きは決定だな。おめでとう!」

 杜はようやく顔を上げた。腫れあがったまぶたを押し上げて畑山を見た。

「少年院は絶対だめだ!俺の計画がめちゃくちゃになっちまう!」

 杜は観念したように嘆息をついた。

「わかりました。ちゃんと話します。でも秘密を守ってくれますか?この話は誰にも言わないって・・・・・・」

 
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