溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


おにぎりにサンドウィッチ、飲み物を適当に手に取る。それと徹夜明けに欠かせないのは栄養ドリンク。両手いっぱい買い込むとエレベーターを待った。

これ食べたら一旦帰ろうかな。このまま居ても逆に効率が悪くなるし。

一人考えていると、チンと軽快な音を立てながらエレベーターが到着する。すぐに乗り込み閉まるボタンを押そうとした時、

「乗ります」

その声といっしょに長身の男性が駆け込んできた。そして私に一瞬だけ視線を向けると、ありがとうというように綺麗に笑った。

うわ、ちょっとしか見えなかったけどイケメンさんだ。九条さんとはタイプの違うイケメンって感じ。例えるなら貴族とか、王子様の部類。品があって綺麗で細身で、紺のストライプのスーツがよく似合っている。
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