溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「九条さんが社長か~今より厳しくなりそうで嫌だな~」
わざとらしく身ぶるしてみせる真壁くん。少し前の私だったら真壁くんと同じ反応をしていただろう。
でも今は違う。彼の下で全力で働きたいし、もっともっとこの場所を大きくしたい。いつかはコロパゴみたいにアプリオブザイヤーを手にしたい。同じ夢をみて突っ走りたい気持ちですでにいっぱいだ。
「わかったから、帰れよ」
そんな想像をしていると、まさに今話題の中心である彼の声が耳に届いた。
結ばれてからオフィスで会うのはこれが初めてで、ドキドキと胸を弾ませながら振り返ると、なにやら不機嫌な顔で中へ入ってくるところだった。
「ったく、しょうもないことで会社に来るな」
しかもどういうわけか、その後ろをちょこちょこと小股でついて歩く朱音さんの姿が。ん? またなにかった?