溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「そう、ですけど……」
「やっぱり。なんかそれっぽいもの。なんていうか、西沢って今時の子とはちょっと違って、古風なところあるものね」
えっと……それはつまり、褒められてる?それともけなされてる。
「あぁ、確かに」
そこにサバの味噌に箸をつける九条さんがポツリと口を挟む。
「いつも昼休み麩菓子とか梅食ってるし、熱いお茶すするし、20代にしてはババくさいとは思ってた」
「バッ……、ババくさいって! 失礼な! おいしんですよ!」
涼しい顔をして食べ続ける九条さんに、口を尖らせムキになって反論する。
「別に悪い意味で言ってるんじゃねぇよ。魚の食い方がうまいのもそのせいかと思って」
そんな私を横目でチラリと見てそう言った。その言葉に、九条さんが最初にここにきた時のことをふと思い出す。
そういえばサンマを食べる私に、綺麗な食い方するなって、褒めてきたっけ。