隣人はヒモである【完】


「朝飯は?」

「……ええ? ないよそんなの」

「なんだよ」



るいくんへの返信を適当に済ませると、お手洗いから戻ってきたレオさんが明らかに不満そうに顔をしかめた。何様だよ。とちょっと思った。


あたしはもともと朝ご飯を抜く派だから、この人には悪いけど食パンの1枚も家には余ってない。


お米は炊けばあるから、何か軽く作ってやってもいいけど、今から準備するのもね。ていうかもう昼過ぎだし。そもそもあたしがそこまでもてなし振る舞う必要もないか。



「あ、なんだ、冷蔵庫は結構食材入ってんな」

「まあ一応、料理嫌いじゃないし、てか勝手に見るなし」

「ふーん意外ー」



だから意外ってなんだこのやろう。


るいくんといいこの人といい、あたしはそんなに料理しなさそうかいな。



「おれ、朝は絶対和食派なんだよね」

「はあ」

「リクエストある? なんか作ってやってもいいけど」

「えっ、料理なんてするんですか」



リクエストを聞いてきたくせに、レオさんの中で朝ごはんのメニューはもう決まっているらしく、勝手に冷蔵庫から食材を取り出している。


人のもん無許可で漁るな、食べようとするな。

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