【短編】お菓子な関係
「鈍感かよ」
「えっ!それは星川くんのほう────」
っ?!
上げられた星川くんの顔は、すごく赤くて。
見てるこっちまで赤くなってしまいそうだ。
なんで星川くんが、そんな顔してるの。
「星川くん…」
「吉岡美帆さん」
「は、はいっ?!」
真っ赤な顔の彼に突然フルネームで呼ばれた私は驚き過ぎて声が変になる。
「君は今、俺と、世でいう間接キスとやらをしたんだけど」
っ?!
自分の顔がボッと熱を持つ。
「なんとも思わなかったのですか」
っ?!
なんとも思わなかったわけないじゃない。
人生で最大の心拍数だった。
この速くて大きい鼓動も、
ガラッと開く家庭科室のドアの音が最近1番好きな音なのも、
移動教室のたびにキョロキョロしてしまうのも、
とにかく最近、あなたを見ると涙が出そうになるのも、
全部全部、
「吉岡」
星川くんがゆっくりと私の手に触れる。
熱い。
身体中が。