【短編】お菓子な関係
気付けば、私の口の中は微かな卵の香りとクリーミーな柔らさと、甘くほろ苦いカラメルソースがふわっと広がった。
「うんっ!おい───」
「今の」
『おいしい』と言おうとした私の声は、いつもより少し低い星川くんの声にかき消された。
私に差し出されたスプーンはプリンの入っていた容器に戻っている。
そして星川くんはなぜかそっぽを向いてる。
どうしたんだろう。
まさか、本当に食べると思ってなくて引いてる?!
「吉岡ぁ〜」
「へっ、」
突然、べたーっと体を調理台に倒した星川くんは、癖っ毛をくしゃくしゃっとしだす。
「あの、星川くん…」
よく見ると、彼の髪の隙から少し見える耳がピンク色に染まってる。