ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
白い制服をまっ赤に染め、彼女は首から血しぶきを噴きあげていた。
――ドサッ。
力なく倒れた里恵の傍らに、刃物を持ってたたずむ女。
……ぁ゛、アイツは!
「菜摘!?」
正真正銘の菜摘が、僕の前に現れた。
無意識に名前を呼ぶと、菜摘は僕を見る。
冷酷な瞳で、殺気に満ち満ちた目で。
鮮血の滴る刃物を僕に向け、嗤ってみせた。
『警告だ!』
声は発しないものの、そう言っているようだった。
そして、髪を振り乱しながら走り去る。
「ま゛待てっ!」
声は発したものの、足がすくんで動けない。
……追えば、殺される。
本能が僕にそう教えていた。
菜摘の姿が見えなくなると、まるで甲冑の鎧を脱いだように身体が軽くなる。
「里恵ちゃん!」
すぐさま駆け寄ったが、地面を侵食するおびただしい血が阻み、抱きあげることができない。
「ぉ、お……お母さん」
きっと、彼女は今、走馬灯を見ている。人生の最期に見ると云われる、それを……。