ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
翌日の火曜日。
「前原さん、ちょっといいかな?」
朝礼が終わったあとすぐ、担任が僕を教室から連れだした。
「警察の人が、キミに話を訊きたいって」
「はぁ……」
校長室の高級そうなソファで、僕は二度目の事情聴取を受ける。
「宇治木さんじゃないんですね」
「……ぁ、あぁね。あの方は普段、東京にいる人だから。あっちでもこの手の事件が多くて、少し協力してもらったんだ」
「この手?」
そう訊ねると、刑事は後頭部をかいて、しらばっくれる。
「いやいや! それよりあれだ。昨日の長谷川菜摘が足立里恵さんを刺して逃げたときの状況を、もう一度詳しく話してもらえるかな?」
僕は包み隠さず、ありのままを話した。
そして、切に訴える。
「早く菜摘を捕まえてください! ことみを殺したのも、アイツに決まってる!」
「……まあー、それはわかっているんだけどねぇ~」
歯切れの悪い回答に、僕は拳を握りしめた。
……コイツらは頼りにならない。
宇治木ならきっと、親身になって動いてくれる。
彼らが“あの方”と呼ぶぐらいだから、捜査に本腰を入れさせるのも可能だろう。
思い立ったら即行動。
僕は学校を無断で早退し、新幹線に乗るための切符を買った。