ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ2 【完】
ラーメン屋を出たのは午前2時過ぎ。
上野方面に向かいながら、雰囲気のある場所を探す。
“ダルマさんが転んだ”といえば、おのずと行き着く所はひとつ。
真夜中特有の不気味さと、繁華街の一角らしいにぎやかさの両面を併せ持つ、公園。
「じゃあ、そろそろ始めますか」
やはり、一番乗り気なのはタクミ。
忠実に遂行するため、今一度、携帯でルールを確認。
「まずは順番だね」
僕のスマホをのぞきこみ、浩介は言う。
皆の表情は一瞬にして強張り、すぐさま「鬼になりたくない!」と、なすりつけの応酬。
写真には映らない、人間の汚なさを垣間見る。
だが、誰よりも汚いのは……。
「あれ、祐一郎は参加しないの?」
「ぃや、ほほら、写真撮らなきゃいけないし!」
なにを隠そう、僕だった。
最初の鬼を決めるはずだった争いが、僕への低俗な侮辱へと発展し、終わりを見せる気配もない。
3時2分。
――ゴロロロォッ──!!
そのとき、凄まじい轟音とともに水の粒が降りてきた。
「チッ、さっさと済ませよう!」
とたんに、杉山さんの機嫌もぐずつく。
「ただでさえ寒いのに……」
背中を丸めて、フードをかぶるピンちゃん。
だが、僕にとってはまさに救いの雨。
「すぐ始めよう」
結局、一番年下の浩介が最初の鬼になり、そばにあった大木に腕をかざした。
今の今までもめていたのが嘘のように、次々と皆が小指を結んで連なっていく。