ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



校内で私がなんと呼ばれているか。

先生たち『天才』
生徒たち『超絶デブ』

一字一句、時間に至るまで。そのときの光景が記憶に刷り込まれるのは後者だった。

身長はなかなか伸びないのに、順調に体重は増えて、2年生の夏には“ずんぐりむっくり”のお手本。

元々目がパッチリしていたし、冬は頬が紅くなる赤ら顔のせいで、やがて「ダルマ」というあだ名が定着した。

もう完璧に、友達を作るタイミングと熱意からは逸脱していて、陰口を叩かれるのが日課。

そんな中でも、唯一の救いがあった。恋をしたのだ。

見ているだけで胸が熱くなる。気付けばその横顔を鉛筆で描いていたりなんかしてetc…。

紛れもない初恋だった。

もちろん進展させる気はさらさら無い。そもそも、進展するわけがない。

私は陰口のシンボル。向こうは、開桜のアイドル。

言わずもがな、絶望的な差。

だとしても、どうか3年生なっても同じクラスでありますように……。

こじんまりとそんな願望を唱えていた。

その1年間、悪意の巣窟に閉じこめられるとも知らず。



 
< 143 / 160 >

この作品をシェア

pagetop