ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
校内で私がなんと呼ばれているか。
先生たち『天才』
生徒たち『超絶デブ』
一字一句、時間に至るまで。そのときの光景が記憶に刷り込まれるのは後者だった。
身長はなかなか伸びないのに、順調に体重は増えて、2年生の夏には“ずんぐりむっくり”のお手本。
元々目がパッチリしていたし、冬は頬が紅くなる赤ら顔のせいで、やがて「ダルマ」というあだ名が定着した。
もう完璧に、友達を作るタイミングと熱意からは逸脱していて、陰口を叩かれるのが日課。
そんな中でも、唯一の救いがあった。恋をしたのだ。
見ているだけで胸が熱くなる。気付けばその横顔を鉛筆で描いていたりなんかしてetc…。
紛れもない初恋だった。
もちろん進展させる気はさらさら無い。そもそも、進展するわけがない。
私は陰口のシンボル。向こうは、開桜のアイドル。
言わずもがな、絶望的な差。
だとしても、どうか3年生なっても同じクラスでありますように……。
こじんまりとそんな願望を唱えていた。
その1年間、悪意の巣窟に閉じこめられるとも知らず。