ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



それから赤い痕や青いアザがいくつかできたけれど、すべて制服の内側に隠れる部分。細心の注意を払い、私を痛めつけるのだ。

ずる賢いというか、人を地獄に蹴落とすプロだった。

ある日の休み時間。いつものふたりに屋上で雑なプロレス技をかけられていた時、生徒会長の内山くんが助けに来てくれたことがある。

『キ、キミたち! ぉ大貫さんは日本の宝になるひ、人なんだぞ! いい加減にしたまえッ!』

精一杯勇気を振り絞ってくれたんだと思う。手が震えていたから。

すると、一瞬目を細くしたあの女は彼にすり寄り、

『わかったわ、ごめんなさい! あなたすごいのね……ステキ。放課後…』

そこから後は耳元に囁く。

次の日。

内山くんは公立中へ転校することになった。

噂だと、彼があの女をレイプしようとしたらしい。

ウソだ。罠に決まっている。

担任は役に立たないから、一番偉い学年主任に必死で訴えた。

初めて、私に対するいじめを止めに来てくれた内山くんを、犠牲にするわけにはいかない。

しかし、

『制服が破けてたんだよ……ショックで学校にも来れないって。見過ごせるわけがないだろ⁉ それに、ただ屋上でふざけてただけなんじゃないのか?』

所詮、金のなる木を伐りたくないだけ。

私は愕然とした。どいつもこいつもクズすぎて。

『いいんだ。ずっと見て見ぬフリした罰だよ。僕は後悔してないから』

家まで謝りに行ったとき、引っ越し業者が後ろで行き交う中、内山くんは私にそう言った。

まざまざと思い知る。世の中は金。

それ次第で、ウソもマコトになるんだと。

自分にも人にも、この時だって何もしてあげられなかった。

私は無力の塊だ。



 
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