ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】



『ちょっと来なよ』

早々に、あの3人組が私を呼びつける。

女子トイレで壁を背にすると、

『あんたさ! 頭良いからって調子に乗ってない?』

『ほら、その偏差値で今すぐ私たちにやめさせてみろよ゛!』

チヤホヤされているのがよほど気に入らないのか、ふたりは1学期よりも威圧的になっていた。

『…………』

『お゛い! なんか言えっ゛!』

『……ご、ごめんなさい』

『チッ、誰も謝れなんて言ってねぇ゛んだ、よ゛ッ!』

『う゛!』

腹部に痛烈な刺激。初めて、人に殴られた。

『うぅ゛……』

『肉が多いから痛くないだろ?』

『大袈裟なんだよ゛!!』

『ッ!』

ふくらはぎの裏側を蹴られ、バチンッという破裂音。

あまりの痛みに、脚を抱えてうずくまる。

『立てよ、お゛ら゛!』

頬に20数㎝の衝撃が走ったとき、

『顔はやめな!』

いつも後ろにいるリーダーがやっと声を出した。

『今日はこんぐらいにしてやるよ!』
『あんまり調子乗んな、デブが!』

捨て台詞を吐いて出ていく湯之下美佐子と梅田はるか。

ひとり残ったあの女は、

『大丈夫ぅ? 痛かったでしょ?』

と、髪を鷲掴みにして後ろへ引く。

そして、冷酷な笑みを浮かべながら、

『楽しい新学期がはじまったね!』

そう言った。

冷たいタイルの地べたに座り、小さい窓から見える青空を眺めながら粛々と思う。

何も意味は無い。IQ200なんか。

難解な数式が解けても、論文の矛盾を突けても、いじめを終わらせる方法がわからないのだから。



 
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