ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(上) 【完】
念のために受けた精密検査で異常は見つからず、すぐに退院の許可が出た。
皆に訊けば、僕の両親は費用だけを払い、目を醒ます前に帰ったらしい。
冷たいというか、関心が無いのだろう。今に始まったことじゃない。
「ね、ねえ! あれ……」
正面入口の自動ドアに立つと、彩矢香は待合室のテレビを指差す。
《「犯人像についてどう考えます?」》
流れていたのは昼帯の報道番組。
亮平と直哉の死体遺棄事件を“連続”と銘打ち、メインMCはコメンテーターに意見を求めていた。
《「2件とも、遺棄現場にメッセージを残してますよね」
「イジメの末路。ですか?」
「えぇ。そこに犯人の強い自己顕示欲を感じるんです。裏を返せば、この世の中への警告かもしれません」》
僕らは空いている席を陣取り、テレビに釘づけ。
《「恐らく、こういったニュースもチェックしているでしょうね。犯人は」
「大きく取り上げられることに快感を得ていると?」
「だと思いますよ。それでも満たされなければ、第3の被害者が出てしまう可能性が大いにある」》
「フッ……」
よくもまぁいけしゃあしゃあと好き勝手。僕は思わず鼻で笑う。
誰よりも自己顕示欲が強いのは、カメラと世論ばかりを気にするコイツらのほうだ。
《「この事件について、視聴者からもたくさんご意見をいただいております。ご紹介しましょう」》
「もういいだろ? 行こう」
虫唾が走り、僕は皆を置いて足早に病院を出た。
小走りで追いかけてきた彩矢香は、半ば強引に迎えの車へと誘う。
「いいよ。自分で帰れるから」
「遠慮しないで。退院したばかりでしょ」
約30分で、2日ぶりの我が家に到着。
「送ってくれてありがとう。また、今夜……」
「うん」
車が角を曲がるまで見送ったあと、僕は自分の部屋へまっしぐら。
「はぁ……」
吸い寄せられるように布団へと飛びこみ、今度は見慣れた天井を呆然と眺めていた。
いつしか、自然と瞼が落ちる。