ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
目覚めたとき、私は過去にいた。ふたりでよく勉強をしたそらの部屋に。
シーツカバーもカーペットの色も同じ。何一つ色褪せていない。
ただ、彼女がいないだけで。
すぐに捜した。あの頃より高くなった視点で隈なく。
でも家の中にいたのは、少し老けたそらの両親だけ。
『過呼吸になってね。落ち着いたと思ったら気を失って、娘の部屋に運んだんだ』
そういえば、自慢のパパだとよく言っていた。優しくて近所でも評判のいい内科医のお医者さんだと。
『いつまでも部屋を片付けられずにいたのは、今日のためだったのかもな』
『えぇ。私もそう思うわ』
『すみません。何もかも……』
『さっちゃんが謝ることはないさ』
『いいえ! 私のせいです。そらの苦しみに気付いてあげられなかった……』
なんだか、気を失うまでの私とはまったく違う自分がいる。
いじめは許されないものだけど、これまで容姿や性格に劣等感を抱き、どうせ人類が解けない永遠のテーマだと諦め、しょうがないと目を伏せた。
でも、そうじゃない。いじめは絶対的な悪だ。
そらは何も間違えていない。彼女のように、正義感溢れる正しい人間が社会の隅に追いやられるなど、絶対にあってはならない。
解いてやろうではないか。永遠のテーマを。
たとえ、いかなる手段を用いようとも。
『私、必ずそらの無念を晴らしますから!』
決めた。
ずっとうずくまっていた日々から立ち上がった瞬間だ。
私は生きる。
私は、復讐に生きる。
そして、この腐った世界を変えるのだ。