ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
『じゃ、このことも知ってるの? 娘は自殺したらしくて、それが原因で母親はいま見る影もない姿になってるって』
『ぇ、えぇ』
その見る影を、つい先日この目に焼きつけてきた。
『いいザマよ! どうせ財産目的で産んだのに、遺言状では一切触れられてなかった。ハナから無かったことにされたの』
『でも、子どもには何の罪もないじゃない。血がつながってるなら、少しぐらいは…』
『いいえ! 必要ない! 摂理よ、セツリ。哀れな女から出てきた娘は、哀れな最期を遂げる。それでいいの。フフフッ、かわいそうに……』
香澄の歪んだ部分を垣間見て、ある意味晴れた。
父親は憧れるほどの人ではなく、カエルから生まれた子はやはり蛙になるんだ、と。
いや、矛盾でもあった。
私は絶対に哀れなままで終わらないから。
『この話は忘れなさい。とにかくあなたには、すでに大きな仕事が待ってる。病院の外にいる報道の方々に、社長として堂々とした姿を見せるのよ。これから、タツミくんのお父様や会社の人たちにアドバイスをもらってきなさい。ほら!』
強い力で背中を押された私は、こちらから訊かなくても五月蝿いガヤの洗礼を受ける。
もうすっかり、声明に一度目を通しただけで憶えられるようになっていた。
吹っ切れた証。復讐の炎に関しては、以前にも増してメラメラと燃えている。
どんな理由があろうとも、上村くんを死に追いやった水嶋辰巳が許せない。
母を娼婦扱いし、私を哀れと嘲笑った香澄も断じて也。
太陽が顔を出してはじまった、世間にとってなんてことない一日。
しかし私にとっては、終焉を飾るに相応しく感じる清々しい朝焼けだった。