ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



一際目立つ店外照明。囲うガラスには一切の曇りがなく、設備の整った店内が筒抜け。

見るからに、まだ産声をあげたばかりのコインランドリーだった。

入口の前に車を停め、改めて明るすぎる中に目をやると、この世界の闇が浮き彫りとなる。

「ぁ……誰か寝てる」

「夜中だとたまに見るよ、ホームレス。新しいところは空調利いてるし」

——バタンッ。

僕と美佐子は車を降りた。しかし、なぜか彩矢香が出てこない。

運転席の横まで回ると、窓を少し開けて言った。

「どうせ車に戻ってくるでしょ?」

その視線は寝ている中年男性に向いている。

「あぁ……」

たしかに、中で待つのは気まずい。

「じゃ、これは置いてこっ!」

再び助手席側を開けた美佐子は、シートの上に鏡の入ったバッグを置いて閉めた。

ボタン付きの自動ドア。その音で、仮称のホームレスが目覚める。

僕らを見て起き上がり、しらじらしく備えつけの雑誌を開いて読みはじめた。

身なりは普通で、一見すると浮浪者には感じない。

だが、不自然に多い荷物がそれを物語っていた。

こういう見た目でも家がないんだなぁと感慨にふけるが、それこそ僕とは住む世界がちがうわけで、視野に入れないよう心がける。

美佐子は袋から一着ずつ取り出し、洗濯機に放り込む。

キャビンアテンダントに婦警、白衣の天使と今話題のキャリアウーマンetc…。

様々な職種が1つのドラム槽にまとめられた。

指定された金額を投入し、蓋にロックがかかると、勢いよく水が流れだす。

パネルに表示された所要時間は34分。

「よし、戻ろ!」



 
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