ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】
持ってきたのは、自撮り棒。
「これならいける!」
横の壁まで突っつき、あとは掻きだすようにして手前に。
「よしっ、取れた! 行こう!」
あれから数分が経った。でも、諦めてはいない。
「どこに行けば……」
迷う彩矢香の横で、僕は畑山に電話をかける。
ちょうど携帯に触れていたのか、すぐにつながった。
「先生! 動画は送られてきましたか⁉」
「あ、あぁ! 今見てたところだ」
「場所は⁈」
「純清学園だと言ってる」
初めて耳にする学校だ。一体、どんな関係があるのか。
「純清は静岡にある。そこは、彼女が進学した高校だよ!」
「彼女って?」
「……大貫幸恵」
「ッ⁉」
通話を切り、彩矢香に行き先を告げた。
ほどなくして、畑山から送られてきた1通のメール。
添付られた動画を開くために、人差し指へ勇気を込める。
《『ィ゛……痛いよ゛……せん゛せぃ。たす、けて゛……た…』
『彼女ヲ助ケタケレバ純清学園ニ来イ。アンタニハ何故ソノ場所ナノカ分カルダロ? 早クシナイト、湯之下美佐子ハ死ヌゾ』》
車内には苦悶の沈黙が席巻した。
頭を巡るのは、割ってしまった鏡のこと。
「くっ……」
もどかしい。
今夜で終わるはずだった。そう信じていた。
しかし、現実はほど遠い結果。
でも、動画の中の美佐子はまだ生きている。
救えるとしたら、僕らしかいない。
大雪の中、これまで以上にアクセルを踏む彩矢香、うねるエンジン。
「ちょ……少し落ち着こう」
「だって!」
「わかるけど、僕らがたどり着けなかったら元も子もないだろ?」
「…………」
それからは無言のまま約1時間半。
大貫の母校、純清学園に着いた。
そして——。
無惨な姿で冷たくなった美佐子の頬に触れる。