ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



斎藤との約束を取りつけ、電話を切る。

ふたりはおそらく、大貫のことをもう一度洗い直すためにやって来るのだろう。

あわよくば同行できれば……。なんて期待が湧いたが、そう上手くことは運ばないだろう。

どうすればいいのか必死で考えたが、何も思いつかないまま朝を迎えてしまう。

辺りは白銀の世界で、本当なら感動の対面になったはず。

今、真っ白なのは頭の中だ。

「たっ……ちゃん」

彩矢香が目を覚ます。

2日続けてこうしていられるのは、夢でも見ない。

だから、その顔を焼きつけておく。

「もしかして、寝てない?」

「うん。ずっと考えてたんだ」

彼女の無垢な朝の顔はやはり美しい。1つ残念なのは、目覚めのキスが今日もお預けということぐらい。

「これからどうするの?」

「まずは、ここに行ってほしいんだ。浜田さんと斎藤さんがもうすぐ来る」

「……わかった」

一瞬の間は、主導権を僕に委ねるという了解だろう。

5㎞ほど車を走らせると、約束した道の駅があった。

道路にはそれほど影響はなかったが、駐車場は10㎝の積雪。関係者が忙しなく雪かきをしていた。

遅れること、15分。

「ホントに申し訳ない! 速度出せなくて」

言い訳からはじまる斎藤のお出まし。

会った目的は、例のアレだ。

「これか……車のどこに?」

「ここです」

「うーん。なるほど」

車の下を覗きこむ僕に、浜田は言う。

「宇治木警視正と知り合いなんだって? 昨日突然現れてまいったよ」

「えぇ、まあ……」

「あの人に会ってから、この事件に報道規制が敷かれた。解決しようが、このまま迷宮入りになろうが、世の中の人が知ることは無くなったんだ」

「…………」

斎藤ばかりに連絡していたからなのか。浜田の口調は少し怒り交じり。




< 29 / 163 >

この作品をシェア

pagetop