ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



音声はそこで終わっていた。

無性に胸騒ぎがして、すぐにもう1通のメールを開く。


《私の命で、未来ある君達の命を救えるのなら。
 水嶋。もう安心していいぞ。
 そして、ありがとう。
こんな教師を、同窓会に呼んでくれて。
嬉しかった。最後の良い思い出だ。》


「先生……」

まずい。これは、もう、あれだ、遺書だ。

『斎藤さん、大変です! 今すぐ先生の家に!』

ひとまず落ち着くようになだめられたが、僕の焦りに歯止めは効かず、

『わわかった! とにかく、張り込みの刑事を向かわせる。こっちからまた連絡するから』

そう言って、通話を切られた。

「くそッ……」

アイツらは、巧みに畑山を操ったんだ。

救える方法を示しておきながら、何度も絶望の淵に立たせて精神的に追い込み、真の条件を提示するという醜悪で狡猾な手段。

騙されてはいけない。これは罠だ。

『水嶋くん……』

斎藤からの折り返しの電話、その声は沈んでいた。

『すまない、間に合わなかったよ』

『…………』

畑山が死んだ。服毒自殺らしい。

僕がもっと早くにメールを開いていたら、こんなことにはならなかった。

美佐子の時もそう。自分という存在が、ふたりの死を招いたのだ。

『キミは今どこに?』

話題を変えることで、僕を落胆から引き上げようとする斎藤。

『今は……静岡のどこかです』

『静岡⁉』

当然、驚くだろう。

今日彼らが行くはずの場所に僕らがすでにいるのだから。

ここに、導かれた意味があると確信している。



 
< 28 / 163 >

この作品をシェア

pagetop