幸せの静寂
 僕は、小さい頃から体が弱くて学校を休みがちだったし、もともと内気な内気な性格だったから友達なんていなかった。
 小学六年生になっても体が弱いままだったから、運動をすることにした。これが、僕とバレーバールとの出会いだった。バレーバールを始めてから体力がついて、体は弱くなくなっていったし、少しだけど友達もできた。それに、リベロとしての才能もあると褒められた。それでも、一つだけ治らなかったものがある。内気な性格だ。僕は、そのままこの中学校へと進学した。中学校生活はそこそこ楽しかった。でも、僕はある重大なことに気づいたのだ。中学男子が異性に対して、持つべきものを持っていなかった。僕は、今まであまり人と関わってきていなかったから気付かなっかったけど、男性同性愛者、いわゆるホモというやつらしい。このことは、両親にも言っていない。でも、その頃の僕は男性に対してもそんな感情を持ったことがなかったから、ずっと半信半疑だった。けど、あの日、あの人に会って分かった。これが、恋心というものなんだと。
 高校へ進学した僕は、バレーバール部に入った。そこには、僕なんかよりもずっとすごい、天才的なリベロがいた。猫田中也だ。猫田先輩は2歳年下の僕よりも5センチぐらい身長は低いのに、とても頼もしい選手だった。いつも元気で、あっという間に皆と仲良くなって、優しくて、少しツンデレなところがあって、僕の、初恋の人だ。


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