幸せの静寂
とうとう、この日が来た。南雲さんには、本当に感謝している。これで、未練もなくまた、練習に励むことができるのだから。
深呼吸をする。そして、言葉を発する。
「あのっ…僕、ずっと猫田先輩のことが好きでしたっ……え、ええと…それだけです。あの……」
恐る恐る顔を上げると、猫田先輩はこれでもかというほど、驚いていた。
「あの、もうこの事は忘れてください、僕、とてもスッキリしました。わざわざ、ありがとうございました。」
僕は、早々にその場を去ろうとしたが、涙が出てきた。
(…やっぱり、寂しいなぁ)
鳴き声が漏れそうになったその時、後ろから、ドンという衝撃がきた。
「え?」
頭だけ振りかえると、そこには僕の首もとに顔を埋めている猫田先輩がいた。
「バーカ。何、勝手に振られた気でいんだよ。しかも、男なら泣くんじゃねーよ。」
猫田先輩が話すたびに首に息がかかっている。
「あの、もしかして泣いてますか?」
「うるせぇっ!グズッ見るんじゃねぇよ。」
僕は、一度、息を吐き覚悟を決めた。
「僕は、男です。」
「知ってる。」
「僕は、弱虫です。」
「知ってる。」
「僕は、こう見えて欲張りです。」
「俺は、一途だから安心しろ。」
「親孝行できません。」
「子供を産むことだけが親孝行じゃねぇよ。」
「…本当に、こんな僕でいいんですか?」
「お前じゃなきゃ、嫌だ。」
僕は、胸に回されている腕をほどき、向かい合って、抱きしめた。
その場に訪れた静寂は、幸せの静寂だった。
深呼吸をする。そして、言葉を発する。
「あのっ…僕、ずっと猫田先輩のことが好きでしたっ……え、ええと…それだけです。あの……」
恐る恐る顔を上げると、猫田先輩はこれでもかというほど、驚いていた。
「あの、もうこの事は忘れてください、僕、とてもスッキリしました。わざわざ、ありがとうございました。」
僕は、早々にその場を去ろうとしたが、涙が出てきた。
(…やっぱり、寂しいなぁ)
鳴き声が漏れそうになったその時、後ろから、ドンという衝撃がきた。
「え?」
頭だけ振りかえると、そこには僕の首もとに顔を埋めている猫田先輩がいた。
「バーカ。何、勝手に振られた気でいんだよ。しかも、男なら泣くんじゃねーよ。」
猫田先輩が話すたびに首に息がかかっている。
「あの、もしかして泣いてますか?」
「うるせぇっ!グズッ見るんじゃねぇよ。」
僕は、一度、息を吐き覚悟を決めた。
「僕は、男です。」
「知ってる。」
「僕は、弱虫です。」
「知ってる。」
「僕は、こう見えて欲張りです。」
「俺は、一途だから安心しろ。」
「親孝行できません。」
「子供を産むことだけが親孝行じゃねぇよ。」
「…本当に、こんな僕でいいんですか?」
「お前じゃなきゃ、嫌だ。」
僕は、胸に回されている腕をほどき、向かい合って、抱きしめた。
その場に訪れた静寂は、幸せの静寂だった。