再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
会話のないまま5分ほど歩くと、水の流れる涼しげな音が耳に入ってきた。
川沿いの道に出たようだ。
気づけば辺りには人の姿もあり、堤防の向こうにある川を眺めている。
……何かあるの?
不思議に思いながら航くんに引かれるまま川に近づいていくと、あと数歩というところで私の目の前を小さな光が通り過ぎた。
「ひゃっ……」
突然のことに私は驚いて息をのみ、思わず足を止めてしまう。
「あぁ、いるな。よかった。紗菜、立ち止まってないで、こっち来いよ」
楽しげな声色の航くんに手を引かれ足を数歩動かすと、堤防に辿り着いた。
目の前には光の群れが広がっている。
「えっ、……蛍!?」
「あぁ」
「すごい……、すごく綺麗……!」
「だろ」
ふわふわゆらゆらと蛍の光が緑の間をさまよい、まるでダンスをしているかのようにリズムをとる。
その光景が幻想的で、目が離せない。
空高く輝く太陽や月、星といった普段見ることができる自然の光も綺麗だけど、こうやって間近で見ることができる光もすごく綺麗だ。
水の流れる音と柔らかな光に癒される。
時折、緑や髪を揺らす風が吹き渡り、心地いい。