再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
航くんの熱のこもった視線がまっすぐで、逃げるように目線を下げるけれど、すぐに手を引かれてぶつかるようにして私は航くんの胸の中におさまった。
耳元で「紗菜」と脳に響くような低くて甘い声で呼ばれ、触れた吐息に肩を震わせてしまう。
「まだわからない?」
「わ、わかんないよ。っていうか、離れて……」
「離さない。鈍感な紗菜にもわかるように教えてやる。ちゃんと聞いておけよ」
航くんは私を強く抱きしめる。
「苦しいよ、航くんっ……」
「好きだ」
「……!?」
「紗菜のことが好きだ。10年っていうブランクはあるけど、昔からずっと好きだった。……いい加減、翼じゃなくて俺を見ろよ」
私を抱きしめる航くんの腕に力がこもる。
……どうして、そんなことを言うの?
どうして、そんなに切なくて甘い声をしてるの?
どうして、私の全てを包み込むように抱きしめるの?
私をからかうための冗談のはずなのに、どうして……?
何も言えずにいると、航くんは不思議に思ったのか、そっと身体を離して私の顔を覗きこんでくる。
「……泣くほど俺のことが嫌いか?」
「そんなんじゃない……航くんはどうして、そんな酷い嘘をつくの?」
「嘘なんかついてない」
「そんなの信じられないよ! だって、航くんは藤岡さんのことが好きなんでしょ? 結婚するんでしょ!? なのに、どうして彼女のことを裏切るようなことするのっ……」
悲しくて苦しくて、私は航くんの胸に拳をぶつける。