再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
甘えるようにして彼の服を掴み、すり寄る。
「航くん」
「ん?」
「翼くんに会わせてくれてありがとう。会えて本当によかった」
「……いや」
一瞬、航くんの瞳が揺れたのは気のせいだろうか。
「泣いちゃったのはね、翼くんに会って改めて自分の気持ちを確信したからなの」
「……そう」
「ここに来る前よりももっと、航くんのことが好きって気持ちが大きくなった。航くんとこうやって一緒にいられて、すごく幸せだよ」
私の言葉が不意打ちだったのか、航くんは驚いたような表情を見せる。
思わず頬を緩めてしまうと彼は息をつき、呆れたような、でも愛のこもった笑みをこぼした。
「うん。紗菜がそう思ってくれるんなら、それでいい。でもひとりで泣くなよ。どんなときでも泣きたいときはここで泣け」
“ここ”を示すように、航くんは自分の腕に抱いた私の頭を軽く2回撫でる。
昔と変わらない言葉と航くんの想いが強く感じられて、小さい頃も今も、彼は私のことを守ってくれているのだと確信する。
昔の私は「守ってくれる」というそれだけで嬉しさを覚えていたけれど、今の私はそれだけでは足りない。
私も航くんのそばで、彼のことを支えていきたいと思う。
彼を幸せにしたい。
「航くんも泣きたくなったら言ってね。よしよしして慰めてあげるから」
「バーカ。紗菜じゃあるまいし、泣くかよ」
「むっ。もうっ」
鼻を摘まれ航くんから離れると彼は可笑しそうに笑い、私もつられて笑ってしまった。
そんな何気ない時間が嬉しくて幸せで、これからもずっとこんなふうに笑えるふたりでいたいと思った。