再会した幼なじみは黒王子? ~夢見がち女子は振り回されています!~
「うん。仕事はできるみたいだけど、たぶん普通の人なんじゃないかな。私もまだあまり慣れてないから、瀬戸さんのことはあまりわからないの。ほら、瀬戸さんって打ち合わせや外出も多いから、アシスタントをしてるからって直接話す機会が多いわけじゃないし」
無駄に情報を与えるのは餌を与えるようなもので、絶対にNGだ。
「たぶん普通」「よく知らない」で流すのが、それ以上の疑問も振られないし一番てっとり早い。
彼のことを否定をするなんてもってのほかだ。
「そうなんだ~。現実はそういうものなのかしらね」
「いいえ! 瀬戸さんって本当にカッコいいし、性格もイケメンですよ! やっぱりうらやましいですよ!」
「性格も、イケメン……?」
どこが……?
心の中で首を傾げていると、原野さんが私の疑問とは違った視点からの疑問を口にする。
「どうしてタガミンが“性格もイケメン”だなんてそんなこと知ってるの?」
「実は一昨日、郵便物を抱えて閉まりかけてるエレベーターに飛び乗ろうとしたときに、“大丈夫?”ってドアを押さえてもらっちゃったんです! しかも、優しい笑顔で“手伝おうか?”って言ってくれて! でもそこに企画営業の部長もいて、“今から総務に行くから、僕が手伝おう”って言ってきたせいで残念ながら叶わなかったんですけどね!」
「やだっ、そんなことがあったの? 瀬戸さんと会話しただなんて、ひとりだけズルいじゃない!」
「ふふふっ。いいでしょ~。あっ、それに瀬戸さんってかわいいところがあるみたいで、ネクタイの結び方がちょっぴり下手みたいなんですよ。そういうギャップ、萌えますよね~」
盛り上がる原野さんと田上さんの会話を、私は口をポカンと開けて聞くことしかできなかった。