【完】せんぱい、いただきます。
「ストップ!」
彼は手のひらを私の前に突き出した。
「それから先の言葉は、直接本人に伝えて!」
彼は白い歯を見せた。
私は頷くことが精いっぱい。
「でも、もし伝えてダメだったら、
もう一回、俺にチャンスをちょうだい。」
そして、彼は言った。
「実紅ちゃんなら大丈夫だから。
ちゃんと、今日買ったリボンをつけて。
ほんとそれ似合ってるから。」
彼は手を振った。
私は手を振り返すべきか悩んで、控えめに振って、彼に背中を向けた。