溺甘副社長にひとり占めされてます。

嫌な予感を覚え、自然と足が後退してしまう。しかしすばやく、彼が私の腕を強く掴んできた。

逃がさないと言われた気がして、ぞくりと、背筋が寒くなった。


「今日、AquaNextの社長が来てるんですよ。せっかくのチャンスですし、社長の友人である白濱さんから、私を紹介してもらえると、すごく嬉しいのですが……そうしてもらえるよう、あなたの力を貸してもらえませんか?」

「そんなこと……自分でどうにかしてください」

「出来るならそうしますが、なかなかあなたの婚約者はくせ者でして、思うようには動いてくれず」


ちょっと小馬鹿にしたような口調でくせ者と言われ、ムッとしてしまう。すぐに武田さんの手を振り払った。


「彼があなたを紹介したいと思うなら、そうするでしょう? でもそれが叶わないなら、察してください」


むきになって言い返してしまい、ハッとする。武田さんの顔が不機嫌になっていく。私も言い方が悪かったかもしれない。

再び、武田さんが乱暴に私の腕を掴んできた。力任せに引き寄せられ、凄味のある表情で私を睨みつけてくる。


「私に何か問題でもあると? まったく白濱のドラ息子は、女を見る目がないな」

「離してくださいっ!!」



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