溺甘副社長にひとり占めされてます。
「君も、はやく着替えた方が良い」
言われて、私も改めて自分を見た。せっかくのドレスが台無しになってしまっている。
周囲の人々が、私のこの惨状を見逃してくれるはずもない。
嫌なモノをみているかのような顔をして、ひそひそと身を寄せ合って話をしている。
悔しくて、涙が込み上げてくる。
「美麗ちゃん!」
名前を呼ぶ声にホッとした瞬間、ふわりと、温もりに包み込まれた。
「白濱副社長。あの……これでは、副社長のジャケットが……」
白濱副社長は自らの上着を脱ぎ、そのまま私に肩にかけてくれたのだ。
「心配するのはジャケットじゃなくて、美麗ちゃんの方。大丈夫?」
「……はい。大丈夫です……ありがとうございます」
彼の優しさが、私の心にまで温もりを与えてくれる。
自分で感じていた以上に、この突然の事態に気持ちが追い付いていなかったらしい。
彼のジャケットを掴む手が、小刻みに震えている。
大変なことをしてしまったと、今更ながら悔やんでしまう。
「どうしてこんなことに?」
「ぶつかってしまって。それで……ごめんなさい。私の不注意です」
「そっか、そういうことか。で、ぶつかった相手というのが……」