溺甘副社長にひとり占めされてます。
白濱副社長にじろりと見られ、そばに立っていた武田さんが身を竦めた。
「違う、俺じゃない。女性でしたよ。どこの誰かまでは分かりませんけど」
疑われたことに不貞腐れながら、武田さんは強く否定した。
「女性?」
周囲に視線を走らせた白濱副社長に、思わず手を伸ばす。
「もういません。彼女にもジュースがかかってしまって、それで着替えるって」
「そっか……逃げたんだね」
淡々とした口調で彼から飛びだしてきた言葉にドキリとさせられる。
確かに、私が原因だと言うのなら、ドレスを弁償しろとこの場にとどまっていてもおかしくない。
シミ一つ見つけられなかった彼女のドレス。
彼女の言葉に疑問を抱いたのは事実だけど、単に私が気づけなかっただけかもしれない。
徐々に頭が混乱してくる。
私たちの様子を遠巻きに見ている人々を押し分けて、宍戸さんが歩み寄ってききた。
「やだぁ。館下さん、どうしたんですかそれ」
まるで汚いものでも見ているかのように少し顔をそむけて、彼女が私を見ている。
「そんな格好で、白濱副社長の隣に立たないでくださいよ。ロイヤルムーンホテルの品位も下げかねないですから」