溺甘副社長にひとり占めされてます。
そう言ってさりげなく、宍戸さんが白濱副社長の隣に並んだ。
自分の方がお似合いでしょとでも主張するように、得意げな顔をしている。
「白濱副社長。私、スーツに着替えてきます」
「それはダメだよ」
部屋に戻ろうとした私の肩に、白濱副社長の手が回される。
「決意してドレスを着てくれたんだもん。パーティが終わるその時まで、美麗ちゃんには俺の恋人として胸を張り続けてもらわなきゃ」
「でも……着替えられるのは、スーツだけですし」
私に残っているのはスーツと私服だけだ。さすがに私服でこの場をウロウロする勇気はないため、実質、スーツだけである。
恋人同士に見えなくなってしまっても、彼の傍にいられるならなんの文句もない。
「彼女、むしろドレスより地味なスーツの方が似合うんじゃないの?」
皮肉たっぷりに小声で囁いた友人に対し、宍戸さんが言動を窘めるように友人の腕を掴んだ。
しかし、その顔は楽しいという感情を隠しきれていなかった。
ふたりでじゃれ付いている姿を見て、違和感を覚えた。
宍戸さんの友人はもう一人いたような気がする。
顔はよく覚えていないけれど……ドレスの色はハッキリ覚えている。