溺甘副社長にひとり占めされてます。

手渡すと、彼は私の肩を抱いたまま、スマホを操作し始める。


「ごめんね、俺だけど。今日ってパーティに来てる?……今、そこから離れられる?……悪いんだけどさ、エレベーターの前まで来てもらえないかな」


白濱副社長の落ち着いた声を聞きながら、私は胸に手を添え、深呼吸する。

宍戸さんのことで怒りが増していく。今日のことだけじゃない。今までのこともそうだ。

負けたくない。

強く湧き上がってくるその感情に、心が乱されていく。


「私に何か用?」


エレベーターの前で足を止め、なんとか心を落ち着かせようと試みていた私の前に、気だるげな表情の女性が現れた。

お互い顔を見合わせ、ほぼ同時に「あっ」と声を発する。


「村野さん!?」

「館下さん。やっぱり参加させられちゃってる」


でも次に浮かべた表情は真逆だった。私は驚きでいっぱいだと言うのに、彼女は予想していたらしく苦笑いを浮かべている。

ノースリーブの水色のワンピースはスリットも入っているため、清潔感だけでなくセクシーさもあわせ持っている。

可愛らしく、そして小悪魔的な魅力も持っている村野さんにとっても似合っている。


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