溺甘副社長にひとり占めされてます。

最後まで言葉にはしなかったけれど、彼女が私のドレスの方へと視線を落としたため、何が言いたいのかがしっかりと伝わってきた。


「館下さん、今どんな気持ちですか?」

「……すごく悔しいです」


素直に自分の気持ちを口にすれば、止まらなくなっていく。

会場に戻った白濱副社長の隣に、宍戸さんが彼女の顔で並んでいるかもしれない。

そんなの嫌だ。

彼の隣に、私が立ちたい。


「負けたくない」


憤りをそのまま言葉にすると、村野さんがふっと口元に笑みを広げて、頷き返してきた。


「和臣さんも同じこと思ってると思います。今頃、ニコニコ笑いながら、相手を徹底的に叩きのめす方法、考えてるんじゃないかな」


想像が容易くて、思わず笑ってしまう。


「腹黒ではあるけど、身内の中では一番優しくて、思いやりのある人ですよ」


そこで、私は笑みを消した。


「……えっ……身内!?」


大声を出せば、エレベーターが4階についた。私も村野さんを追いかけエレベーターを降りた。

廊下を奥へ奥へと進み、突き当りに位置する客室を開け、村野さんが私を室内に入れてくれた。

室内に入り、すぐに私は感嘆の声を上げた。

5メートルくらいあるだろうハンガーラックに、ずらりとドレスが並べられていたからだ。


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